~子育ての視点から静かに子どもの命を支える学問~
人類が未来に向かって発展(繁栄)していくためには、子育ては欠かせない大切な仕事です。
子どもたちを育て、健やかに育んでいくことが、私たちの未来を担う子どもたちに幸せな人生を送ってもらうための基盤となります。
このような立場から乳児栄養(子どもの栄養)において、子育ての視点から書かれたものが「育児栄養学」(今村1984)です。
「子育ては人生の最も大切な仕事である。子育ての目標は健康なからだを作り、健全な心を育てることである。栄養は健康なからだを作るのに必要であり、食生活としては健全な心を育て、生活を確立するのに役だつ。
栄養の基本としては、栄養生理学や食物栄養学などの知識が必要であるが、それらを生活の中で育児に応用することを心がける。そこに「育児栄養学」という立場が望まれるであろう。」
とこの著書のなかで「育児栄養学の意義」を記しています。
この本は、かつては、乳児栄養を学ぶ者のバイブルともいわれました。
著者は、「乳児栄養は学問的にも、社会の動向によっても絶えず変化しているので、改定を繰り返す」述べていました。しかし、2002(平成14)年以降の改定はないようです。
さらに残念なことは、現在まで、これを越えるような書物や論文は私の知る限りないことです。
平成~令和につながるような育児栄養学のバトンは渡されなかったのか?
この思いを抱えながら仕事をしてきた私でしたが、この度貴重な機会を得て乳児栄養学、特に育児栄養学の考え方を継承し次世代につながることを根底にした論文を作成することができました。今後、その一部を少しずつ紹介させていただければと思います。
日々の生活の営みのなかで、静かに子どもの命を支える育児栄養学の視点を持った乳児栄養学が存続し発展することを願いつつ。
【参考文献・資料】
今村栄一、1984、『育児栄養学』、日本小児医事出版社。
上田玲子、2022、『なぜ乳汁栄養法は変動するのかー時代的背景と課題』本科修了論文、
立教セカンドステージ大学。
上田玲子、2023、『離乳栄養法の変遷と現在の課題』専攻科修了論文
立教セカンドステージ大学。
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