“しょっぱいもの”はとてもおいしい‼

日本における食塩摂取量の1日の目標量は、成人男性7.5g未満、成人女性6.0g未満とされている。さらに、日本高血圧学会は、血圧が高い場合には6g/日未満を推奨している1

ところが日本における成人1日あたりの食塩摂取量の平均値は 10.1g であり、男性 10.9 g、女性 9.3 g である。この 10 年間でみると、男性では有意に減少、女性では平成 21~27 年は有意に減少、平成 27~令和元年は有意な増減はみられない。年齢階級別にみると、男女とも 60 歳代で最も高い2

世界各国のナトリウム摂取量に関するデータ解析によると、2010年時点の全世界の推定ナチリウム摂取量は1日当たり平均3.95gで食塩10.0g相当であった。そして1日のナトリウム摂取量が2.0g(食塩5.0g相当)を超えると、世界で165万人の心疾患による死亡が生じるとされている3)。

一方、過度な減塩は心疾患による死亡を上昇させてしまう可能性が指摘されている4

塩分は悪者扱いにされがちだが、脱水を防ぐためにかかせない。水を体内に留めるために塩分濃度を0.9%に維持する必要がある。脱水予防には、真水だけではなく塩分も大切である。だから私たちは塩分をおいしいと感じて欲するようにできている。

このため、減塩食をおいしいと感じない。適塩が望ましいが、これまでの塩分10g/日前後の食習慣から急に5g/日程度の減塩食にすると食欲減退から体重減少を傾きやすい。若い女性の低体重や高齢者におけるフレイル予防のためにも食塩5g/日前後でおいしいと感じられるような幼いころからの食習慣の確立と共に適塩で美味なメニューの開発が望まれる。

1)日本人の食事摂取基準2020版(厚生労働省)

https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf

(2023年4月25日アクセス)

2)令和元年国民健康・栄養調査結果(厚生労働省)

令和元年「国民健康・栄養調査」の結果

(2023年4月24日アクセス)

3)Mozaffarian D.Fahimi S,Singh GM.et al: Global sodium consumption and death from cardiovascular cause. N Engl J Med.371:624 -34(2014)

4)O’Donnell M,Mentre A,Rangarajan S,et al:Urinary sodium and potassium excretion,mortality,and cardiovascular events. N Engl J Med.371:612 -23 (2014)

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